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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新世界写真331

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20歳の時は、フィルムの時代だった。それもネガではなく、印刷に適するポジ(リバーサルフィルム)を使っていた。ピントはもちろん、今とは比較にならないほど露出を合わせるのが難しかった。
朝、昼、晩と撮影する中で、僕は少しずつ心にフラストレーションが溜まるのを感じた。
僕が本当に見たい、後世に残したい風景とは、まだ一日が目覚める時、または眠る瞬間の「地球の息吹」。野生動物たちは幽玄な朝を闊歩し、静寂の夕へ消えていく。その瞬間にシャッターをきっても、フィルムの感度が不足して、シャッター速度が遅くなる。結果、ブレた写真が量産された。
でも、デジタルが台頭し、ミラーレスとなり、感度を無限に上げられる時代の今は、あの時のリベンジのチャンス。
日の出前、一頭の雄熊が、僕へ向かって歩いてくる。3m、2m、1m、僕の匂いを嗅ぎ取り、道を空けろと顔を上げた。僕は脇に去り、後姿をファインダーで追った。
撮れなかったものが、撮れる時代に。ふと気づくと、僕は野生動物の息遣いに、包まれていた。
            ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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