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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新世界写真378

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一頭の熊が波打ち際に立っていた。
白い飛沫が大きく散り、それらを悠然とかぶりながら進む。
大きな岩の上からは、オジロワシが熊の動きを見つめている。
熊は体ごと海へ入り、鮭を狙う。一度、二度失敗するが、深く潜った後、口から銀色の体が跳ねた。
岩場を黄色い影が横切った。冬毛をまとった北キツネだ。
一頭の熊が鮭を取るということ。それはすべての生き物に豊饒がもたらされる。
キツネは尻尾を下に向け、完全服従の姿勢で熊の前を走る。
おこぼれが無いか、少しだけ肉片が落ちないかをひたすら狙っているのだ。
この時期の熊は、もう栄養価の高い頭とイクラの部分しか食べない。その後残されたものが、オジロワシ→キツネ→カラスの順に消化されていく。
秋の命は、何ひとつ無駄になるものが無い。
鮭もまた森に帰り、海に返り、命の根源へ還っていく。
           ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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