fc2ブログ

写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

絶対色

DSC04668.jpg

最近同じような質問が多いので、ここらへんでまとめて返信させてもらおうかしら?
カメラで生計を立てていこうとする若者たちから、「どのようにしたら、野村さんのように海外で写真を売れますか?」と。
まず、僕は海外専門で売っているわけではありません。日本の教科書にも、カレンダーにも、ポスターや、マスコミなどにも売ります。でも、先進国の中で、「写真」というジャンルが最も軽んじられている国は「日本」だと認識はしています。理由は2つ、ニコン、キャノン、ソニーを始め、カメラの生産国であること、iphoneなどの台頭により、国民総フォトグラファー、総ビデオグラファーになっているから。誰でも気軽に撮れる。だからこれでお金になったら嬉しいなと。
DSC04671.jpg

「アマチュアとプロの違いは何か?」
「プロは写真でお金を稼ぎ続けられる人、そして自然が一番美しい時に、最前線にいられる人」。これは「質(クオリティ)」と「時間」の問題でもある。お金を稼ぎ続けられる人は、常にクライアントの欲しい質を提供でき、最前線にいる人は、いつだって自然が一番美しい時間を最優先させられる。
「自分が撮影したもので、誰に何を伝えたいのか? それが出来るなら、何を犠牲にしても構わない」。
それくらいの意気込みや強い気持ちが無いと、写真家として続けていくのは難しいのだと思う。そして海外に売るためには何が必要か? それは海外の編集者たちに自分という人間を認識させること、そして絶対色を磨くこと。写真や動画に本格的に関わらなければ、色に対して、そこまで気を使う必要は無い。でも、少なくとも写真で成功したいのなら、その可能性を少しでも上げるため、カメラ、レンズ、センサーの3つは勿論、写真を映し出すモニターにも気を配るべき。世界の有名雑誌の編集者は、必ず絶対色で写真を見ている。絶対色とは、世界標準の色。それらはキャリブレーションツールを用い、色を調整しないと整わない。大まかにいえば、iphoneとアンドロイドの色の違い、windowsパソコンとmacbookの色の違いと言えば分かりやすいだろうか? もしそれにすら気づいてなければ、ヨドバシやビックカメラのパソコンコーナーを覗いてみると良い。同じ画面(壁紙)でも、こうも色が違うのかと愕然とするだろう。スティーブ・ジョブスのやりたかったことの一つ、それは、この絶対色で世界を観て欲しいということ。だからアップル製品は、色彩が他よりもまともなのだ。
DSC04682.jpg

さて、話を戻す。よく写真は撮ってからのレタッチが大切だと言う。もちろん人間の網膜(レティーナ)に近づけるわけだから、レタッチは必須だ。でもどの画面でそれらを作業をするのか? 絶対色に調整されていない画面でどれだけ時間をかけてレタッチしても、海外の編集者たちのモニターで見たらそれは、、、。だからこそ、まずはしっかりと調整された画面で見ることが大切になってくる。
批判を恐れずに言えば、iphoneならpro以上、マックならmacbookpro以外に選択の余地はない。出来れば、しっかりとした外部モニターを使って、1週間に一度はキャリブレーション(調整)をすることが望ましい。それらを日々習慣付けることで、自分の色彩感覚と、絶対色のズレが少なくなり、撮影だけで殆どレタッチ不要な写真を撮ることが出来るようになる。
DSC04687_20221203165031c26.jpg

今日も、自身の色をキャリブレーションするために、マニュアルレンズを使って、慶應構内の銀杏並木を撮影した。頭に浮かぶ色と液晶に浮かぶ色、それらをモニターで見るときの色が一つに繋がっていれば、後は何もする必要がなくなる。僕の一番大切なものは有限の時間。出来るだけ最短距離で、最大限の撮影を。それは技術ではなく、日々の積み重ねの中に在る。
             ノムラテツヤ拝
DSC04690_20221203165030bce.jpg
ランキングに参加しています。“地球の息吹”を楽しくご覧下さった方は、ぜひ1日1回「人気ブログランキングへ」ボタン人気ブログランキングへのクリックをお願い致します!以下のライオンボタンの上でクリックしてみて下さい。吠えます!
人気ブログランキングへ

テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

日本 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<歩けること | ホーム | 新世界写真404>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |