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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

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母方のおばあちゃんが、僕は大好きだった。いつも「てっちゃん、てっちゃん」と手をかけてくれ、何をしてもその月光のような優しい笑顔で、僕を包んでくれた。仙台から少し離れた多賀城に住み、遊びに行くと、「てっちゃんの大好きなお鮨を食べに行こう」と塩釜の名店Kに連れ出してくれた。生ものがあまり得意でないおばあちゃんは、ガツガツ食べる僕を横目に、好物のチラシ鮨を少しずつ食べた。
カウンターで大将と話しながら頂く時間は、まさに僕にとっては大人の時間。あの頃から年を重ねるということが楽しみになった。10年前、おばあちゃんは寿命を全うし100歳手前で天界へ。
泣いたな、大好きな愛する人がこの世からいなくなり、心が空っぽに、僕という存在が希薄になっていくのを感じた。あれからの歳月を噛みしめながら、今夜はおばあちゃんが愛し続けた店Kへ。いつもの場所、馴染みのカウンターへ通され、大将と魚の話で盛り上がる。特上のにぎりを頼んで、一通り頂いてから、愛する味へ。ツブは隠し包丁が幾本も入れられ、そこから甘い味が滲み出る。イカも芸術の域まで高められ、藻塩で頂く。そして通常の倍のコハダを使い、浅〆の味を楽しみ、最後はびんちょう鮪のひがしもの。日本で最も美味しいマグロの赤身が提供される場、それが僕にとっては塩釜だ。
おばあちゃん、有難うね。おばあちゃんが子供の頃から教えてくれたことを守って、これからも楽しく生きます。天国へ行ったら、また沢山お話を聞かせてね。浦霞の銘酒「禅」がウマすぎるのかな? なんだか涙が出てきたよ。
 ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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