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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

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チリの秘境プエルト・エデンで忘れられない夜を過ごしたことがある。先住民リンチェとの体験を、僕はこう書いている。
家の前にくくりつけていた紐を外し、2人乗りのカヌーで闇の中へ漕ぎ出してみる。オールで水面を弾くと、カヌーはゆっくりと海へ押し出された。プエルト・エデンの海は、鏡のように凪いでいる。星々が海へ映り、僕は銀河船に乗った。天の川をまたぎ、南十字星をくぐり、流れ星を仰ぎ見た。オールを置き、しばらく流れに身を任せた。静かだ。風も殆どなく、聞こえるのはリンチェと僕の呼吸音だけ。空へ手を伸ばせば、星が墜ちてきそうな近さ。海に手を入れると、星は輝きごと揺れた。
もう二度とこんな夢のような夜を体験することは無いだろう。それほどおびただしいほどの星が完璧に海面に写り込み、まるで宇宙へ放り出されたようだった。
ニュージーランドのワイトモ。漆黒の洞窟で無数の土ボタル(Glow-worm)が壁を照らしていた。和名はヒカリキノコバエ。その幼虫がお尻から粘性の糸を垂らし、蜘蛛の巣のように獲物を狙う。幼虫も糸も青く光る。そこへゆっくりボートで流れていくと、あのプエルト・エデンの体験を彷彿とさせた。
こんなに尊い地球に、生を頂けて、本当に有難くて仕方ない。僕は青い星、無数の地球が光る洞窟を、奥へ奥へと進んでいった。
ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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