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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

カックウのことば

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2年ぶりのカックウ。高鳴る鼓動を押さえて、漆黒の部屋へ。スポットライトに浮かぶ国宝・中空土偶の「カックウ」がいた。
南茅部(みなみかやべ)町の中空土偶で、略して茅空(カックウ)。そのフォルム、模様、宙を見つめる視線、どれもが一級品だった。
「あなたのお陰で、縄文文化に興味を持ちました。あなたが素晴らし過ぎて、日本中の土偶に逢ってきましたが、あなたより魅力的な土偶に逢うことはありませんでした。最強のあなたが最初で良かった。あれほど深く感動しなければ、縄文の旅を始めませんでしたから」。
頭を下げて、そうカックウに話しかけた。次の瞬間、カックウは金色に輝き、思ってもみない言葉を返した。
「こちらこそ、有難う。君のお陰で、私は日本各地の仲間たちと会うことが出来た」
「えっ、一緒にまわってくれていたのですか?」
「私が逢いたかったから、君を使った」
「あなたがいてくれたから、他の国宝土偶4体はじめ、斜光器やハート型、いや、全ての縄文の遺跡が、ウェルカムで受け入れてくれたのですね」
「そうかもしれない」
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お礼参りに来たら、逆にお礼を言われてしまった。でも、カックウに使って頂けて光栄だ。もしかしたら、感動とは双方向なのかもしれない。僕だけが感動しているのではなく、相手側も何かを感じてくれている。カックウにとって、僕は自在に日本中歩き回れる自由さがあったということだろうか。そう、大自然も双方向。片方だけで繋がることはなく、繋がった時は、僕の記憶は相手に、相手の記憶は僕にすべて入ってくる。
「有難うございます。大変な勉強をさせてもらいました」
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「いつでも待っている。わたしはここにいるし、君の側にもいる」
涙が溢れて止まらない。僕は腕でぬぐい、もう一度カックウに深く頭を下げた。
             ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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