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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

雄鹿

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山をバックにエゾシカを撮影し、戻るところだった。西へ車を向け走っていたら、迫りくる光景に目を疑った。なんと路上で鹿の家族がずらりと並び、とうせんぼをしているのだ。
えっ、と車を止めても、微動だにしない。こんな時は、きっと自然からのメッセージだろうとエンジンを切り、僕は彼らに身を任せ、外へ出た。先頭の雄がついて来いと合図する。どこかで見たことのある風貌に違和感を覚えながら、葦の草原へ。湖がお椀のようになっている場所で、エゾシカが思い思いにポーズをとってくれた。
「これはまさか、、、」、そう、アラスカへ行った方なら分かる。北米最高峰・マッキンレー(6194m)の麓、デナリ国立公園のワンダーレイクにうりふたつなのだ。
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師の星野道夫がこよなく愛した湖、そこにアラスカであればムースやカリブーが、ここ道東はエゾシカが整然と並んでくれた。
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ぶわっっと涙が出そうになる。コロナ禍で僕がもっとも再訪したかった場所、それがアラスカだったから。「有難う」と頭を下げて車へ戻ると、なんとエゾシカが後ろを付いてきた。そして先頭の雄が、ピーッと声を上げると、群れが疾風怒濤。まるで風のように一斉に走り出した。
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車と同じ速度で並走する群れ。そして車の速度を下げると、のり面を勢いよく登り1mまで近づいてくる。
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何かおかしい、もしかして、、、この雄の瞳を、僕は以前に見たことがある・・・。
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そうか、2年前に奇跡の雄鹿を撮影し、生涯のベストショットが生まれた。その翌日に複雑骨折をすることになるが、あの雄鹿がウェルカムの歓迎をしてくれたのだ。自然界は、深遠さに満ち満ちている。こんな祝福のされ方もあるのだ、と僕は流れる涙を腕でぬぐった。
            ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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