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写真家・野村哲也が贈る“地球の息吹”

新世界写真499

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緊張しながら車を走らせていると、「あっ、いたいたっ」と声が響いた。
「えっ、どこどこ?」
闇の中に、ポツンポツンと明滅する蛍の光。ブレーキをかけたが、思いとどまった。生まれて初めての場所、ロケハンも兼ねて、更に奥へ行ってみよう。胸を高鳴らせ、そこから10分ほど走ると、あたりは光の世界になっていた。
畑の脇に停車し、外へ飛び出すと、皮膚に何かが触ってくる。ヘッドランプの明かりを付けると、それらは全て大きな蚊だった。慌てて戻り、虫よけをシュッシュ。三脚を持って、道端から畑を狙った。
この辺りは、世界有数の大パンパ地帯。地中60mまでが岩のない土壌が広がっている。タイムラプスをかけながら、少しばかりのテクニックを使う。写真とは想像の産物。どれだけ撮る前に具体的にイメージできるか?それに近づけるために、出来るうることは全てヤル。
陽が沈んでから1時間後、自分を支点に360度、地平線まで蛍に包まれた。遠くに町の光が。地図で測ると、それは50キロ先の光だった。半径50キロということは、僕の周りには直径100キロの蛍が光を放っていることになる。
「100キロ続く蛍の道」が在る。世界は恐ろしく深く、そして広大無辺だ。数十万、数百万匹の蛍が命を燃やす大乱舞。それはまさに地上で輝く星のよう。空には天の川。僕は星と蛍を一枚に重ねた。夜空に蛍という流星がひとつ、またひとつ。
            ノムラテツヤ拝
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テーマ:スナップ写真 - ジャンル:写真

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